MADISONBLUEが大切にしてきたのは、長く愛されるものへの静かなまなざしと、新しい感性を受け入れる柔らかさ。
MADISONBLUEでは、デザイナー・ディレクターの中山まりこが長年触れてきたアートの感動や気づきを、ブランドに関わるすべての方と自然に分かち合いたいとの思いから、2025年2月の旗艦店グランドオープンにあわせて「MB ART SALON」を立ち上げました。
ここは、作品を通して作家の視点や時代の流れに触れ、ふとした会話や新しいインスピレーションが生まれる場所。ファッションの枠を越えて、感性が自由に開かれるプラットフォームでありたいと願い、アートディレクション&キュレーションに「plugin +」の武田菜種氏を迎えて、今後さまざまなギャラリーと協働しながら展示を企画していきます。
そして、アートの多様なまなざしとMADISONBLUEのものづくりの精神が、静かに交差する時間を育てていきます。
© Toshio Yamamoto, the Estate of Kansuke Yamamoto.
plug in + 武田 菜種
協力:Taka Ishii Gallery
第2回目のテーマは「シュルレアリスムの眼(まなざし)」。
シュルレアリスム(超現実主義)は、1920年代にフランスで始まった芸術運動です。1924年、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが発表した『シュルレアリスム宣言』を契機に本格化し、フロイトの精神分析にも影響を受けながら、理性や既成の価値観から解放され、夢や無意識、偶然性を通して「もうひとつの現実」の探求を目指しました。絵画、写真、文学など、幅広い分野に大きな影響を与えています。
本展「シュルレアリスムの眼」では、日本におけるシュルレアリスム写真の先駆者と称される山本悍右、シュルレアリスムの精神と響き合う独自の写真表現を展開した奈良原一高、そして現代においてその系譜を新たなかたちで継承する五木田智央の作品を紹介します。
山本悍右は、フォトモンタージュや演出写真を通して、夢や無意識の世界を探求しました。奈良原一高は、光と影、幾何学的な構図によって、日常の風景を夢や記憶を思わせる詩的な空間へと昇華させています。五木田智央は、身近なモチーフやデフォルメされた人物、想像上の生き物などを描き、現実と非現実が交錯する独自の世界を創出しています。3人の作家に共通するのは、現実をそのまま切り取るのではなく、その奥に潜む非現実を“切り出す”ように、それぞれの眼差しで新たな世界を立ち上げていることです。
今回はさらに、ファッションとシュルレアリスムの響き合いにも着目し、MADISONBLUEの世界観とも重なる、女性の身体性や女性像を感じさせる作品を多く紹介します。自己の解放というシュルレアリスムの精神を手がかりに、その眼差しを通して、私たち一人ひとりの内に潜む「もうひとつの現実世界」を探求します。
Kansuke Yamamoto
“An Experimental Thinker Starting from Danger”, 1958
Gelatin silver print
Image and paper size: 30.3 x 43.9 cm
© Toshio Yamamoto, the Estate of Kansuke Yamamoto.
Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi
山本 悍右Kansuke Yamamoto
1914–1987, Aichi, Japan
日本のシュルレアリスム写真を代表する写真家。「日本におけるシュルレアリスム写真の先駆者」明治大学仏文科を中退、1930年から詩作を始める。1931年、「シュルレアリスムの写真における実践」を目指し写真制作を始め、同年、小此木光也らと共に写真集団「獨立寫眞研究會」を名古屋にて結成、新しい写真表現の模索を行う。1980年代まで一貫して前衛写真を追求し、コラージュ、フォトモンタージュ、フォトグラム、演劇的な演出写真など、多様な表現を展開。
展示内容:フォトモンタージュ、建築シリーズなど。
Ikko Narahara
“Advertisement, South Carolina” from “Where Time Has Vanished”, 1972/1973
Gelatin silver print mounted on board
23.3 x 34.6 cm
© Narahara Ikko Archives / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film
奈良原 一高Ikko Narahara
1931–2020, Fukuoka, Japan
戦後日本を代表する写真家。早稲田大学大学院で美術史を学び、1950年代には池田満寿夫や靉嘔らと交流を深めるほか、東松照明、細江英公、川田喜久治らとともに写真家集団「VIVO」を結成した。その後、パリやニューヨークを拠点に世界各地を取材し、数々の展覧会や写真集を通じて国際的な評価を確立した。
展示内容:60年代にファッション写真を精力的に発表。服飾雑誌を飾る写真の中から1971年と72年にアメリカを横断する旅に出て撮影された『消滅した時間 Where Time Has Vanished』のシリーズ。
五木田 智央Tomoo Gokita
Born 1969, Tokyo, Japan
画家。1990年代後半、鉛筆や木炭、インクによるドローイング作品で注目を集め、2000年に作品集『ランジェリー・レスリング』を刊行。ニューヨークでの個展を皮切りに、国内外で数多くの展覧会を開催。モノクロームの絵画を中心に、ステンシルやコラージュ、立体作品など多彩な表現を展開し、豊かな視覚言語によって独自の世界観を築いている。
展示内容:オイルペインティングの新作。
Tomoo Gokita
“Rescue”, 2026
Oil on linen
53.2 x 45.5 cm
© Tomoo Gokita
Courtesy of Taka Ishii Gallery
Photo: Kenji Takahashi
& SHIN JINUSHI
COLLECTION
中山まりこ & 地主晋 コレクション
plug in + 武田 菜種
グランドオープンに際して最初に展示されたアートは、中山まりこ・地主晋が長年大切にしてきたコレクションです。
1Fで皆さまを迎えるのは、NOKKOの笑顔とエッジーなスタイルが印象的な一枚の白黒写真。中山がスタイリストとしてNOKKOの世界観をつくり上げ、その瞬間を写真家Ellen von Unwerthが切り取った作品であり、MADISONBLUEの根底にある“原点のエネルギー”が凝縮された一枚です。
1階には、この写真を軸に「MADISONBLUE」が歩んできた軌跡を象徴する作品をセレクトし、2階はブランドがこれから見つめる未来の景色をテーマに構成。たとえば、Alex Katzが描く女性のまなざしや、塩田千春が紡ぐ赤い糸のインスタレーションなど、そのひとつひとつが新しい章へ向かうMADISONBLUEの感性を静かに語りかけます。
1階、2階のアートを通して、ブランドの“これまで”と“これから”を感じていただける展示となっています。
& SHIN JINUSHI COLLECTION
Art Basel VIPリプレゼンタティブ日本
アートウィーク東京VIPリプレゼンタティブ