MADISONBLUEが大切にしてきたのは、長く愛されるものへの静かなまなざしと、新しい感性を受け入れる柔らかさ。
MADISONBLUEでは、デザイナー・ディレクターの中山まりこが長年触れてきたアートの感動や気づきを、ブランドに関わるすべての方と自然に分かち合いたいとの思いから、2025年2月の旗艦店グランドオープンにあわせて「MB ART SALON」を立ち上げました。
ここは、作品を通して作家の視点や時代の流れに触れ、ふとした会話や新しいインスピレーションが生まれる場所。ファッションの枠を越えて、感性が自由に開かれるプラットフォームでありたいと願い、アートディレクション&キュレーションに「plugin +」の武田菜種氏を迎えて、今後さまざまなギャラリーと協働しながら展示を企画していきます。
そして、アートの多様なまなざしとMADISONBLUEのものづくりの精神が、静かに交差する時間を育てていきます。
plugin + 武田 菜種
協力:Yumiko Chiba Associates
「白」は始まりを象徴する色。ゼロへと立ち戻り、ここからどのような色を重ねていくのか。MADISONBLUEの新たな章を告げるテーマとして選びました。
本展では、Yumiko Chiba Associatesの協力を得て、沢居曜子を中心に今井祝雄、木下佳通代、高松次郎の作品を紹介します。四人の作家はいずれも、物質や存在そのものを根本から問い直し、前衛的な実践を試みながら、「白=無=ゼロ」に潜む可能性を探求してきた表現者たちです。MADISONBLUEもまた、ファッションを単なる“モノ”としてではなく、スピリッツやストーリーを伝える表現として進化を重ね続けています。「ゼロ=白」から始まるこの物語は、こうしたブランド理念と深く共鳴し、新たな章の幕開けを告げるものとなるでしょう。
Line-Work / c. 1977
Cutter knife line, Pastel, Kent paper
49.9 x 50 cm / Unique
©Yoko Sawai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
沢居 曜子Yoko Sawai
Born 1949, Mie, Japan
1970年代の日本前衛美術を代表する作家。紙に切れ目が入る寸前まで切り込みを施し、パステルの筆致によって“見えない線”を浮かび上がらせる作品を制作した。緻密な構成に偶然性を残しつつ、感覚や直感に頼らず「作品が成立する条件」を探る姿勢は、西洋のミニマル/コンセプチュアルアートの論理と、日本的な「余白」の感覚が交差する地点を示している。
白のセレモニー・80 度
1967/2013
Acrylic, Cotton cloth, Plastic mold
80 x 131 x 17.8 cm / Unique
©Norio Imai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
今井 祝雄Norio Imai
Born 1946, Osaka, Japan
「白のレリーフ作品」において、布やキャンバスに隆起や穴を生じさせる手法で、平面と立体の境界を曖昧にした。光と影、内と外が揺らぎながら立ち現れるその表現は、白という無色に近い表現を通して、形や輪郭そのものに新たな焦点を当てる試みである。「見るとは何か」「空間の限界とは」「色がないことにどんな可能性があるか」といった根源的な問いを追い続けた作家。
Ph ’80-16 / 1980
felt pen on photographic paper
51.9 x 82.1 cm/ Unique
©The Estate of Kazuyo Kinoshita, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
木下 佳通代Kazuyo Kinoshita
1939–1994, Hyogo, Japan
印画紙に直接線を描き加えることで、写真のイメージと手の痕跡を重ね合わせ、時間・像・支持体の関係を探究した。本展に出品される作品では、折り目をつけた紙を撮影した写真にフェルトペンで線を加えることで、白い像がまったく異なる新たなイメージとして現れる。一見シンプルな手法のなかに、見ることや存在のあり方を問いかける深いまなざしが宿っている。
高松 次郎Jiro Takamatsu
1936–1998, Tokyo, Japan
《紙の単体》は、「単体」シリーズの一作。紙を砕いたり千切ったりする身体的な行為によって、本来の機能を失わせ、ひとつの素材として提示する作品である。重さは変わらないまま形や体積だけが変化するその姿を通して、高松は私たちの「ものを見る感覚」を静かに揺さぶる。分断が進む現代において、「ひとつになること」の重要さをそっと問いかけるような余韻を残す作品でもある。
Oneness of Paper
1971/ Paper on panel
45.5 x 32.8 cm / Unique
©The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates - Tokyo,
Pace Gallery - New York and Stephen Friedman Gallery - London
& SHIN JINUSHI
COLLECTION
中山まりこ & 地主晋 コレクション
plugin + 武田 菜種
グランドオープンに際して最初に展示されたアートは、中山まりこ・地主晋が長年大切にしてきたコレクションです。
1Fで皆さまを迎えるのは、NOKKOの笑顔とエッジーなスタイルが印象的な一枚の白黒写真。中山がスタイリストとしてNOKKOの世界観をつくり上げ、その瞬間を写真家Ellen von Unwerthが切り取った作品であり、MADISONBLUEの根底にある“原点のエネルギー”が凝縮された一枚です。
1階には、この写真を軸に「MADISONBLUE」が歩んできた軌跡を象徴する作品をセレクトし、2階はブランドがこれから見つめる未来の景色をテーマに構成。たとえば、Alex Katzが描く女性のまなざしや、塩田千春が紡ぐ赤い糸のインスタレーションなど、そのひとつひとつが新しい章へ向かうMADISONBLUEの感性を静かに語りかけます。
1階、2階のアートを通して、ブランドの“これまで”と“これから”を感じていただける展示となっています。
& SHIN JINUSHI COLLECTION
>NOKKO × Ellen von Unwerth 作品を中心に構成
2F: 「MADISONBLUEのこれから」
>Alex Katz、塩田千春 ほか、現代アート作品を展示
Art Basel VIPリプレゼンタティブ日本
アートウィーク東京VIPリプレゼンタティブ